(提言)教員を育てるということ

愛知県小中学校長会長 鈴村 俊二

 以前、県教育委員会でお世話になっていたときに、学級経営がうまくいかなくて、つらそうにしていた若い教員と話をする機会がありました。最初は、まだ経験が浅いのだから悩むのも当然だし、少しずつ成長していけばよいのではと思っていたのですが、話しているうちに私自身が「なるほどな」と学ぶ場面がたくさんありました。

 たとえば、彼女は勤務校の教務主任さんから「ベテランの先生の授業をたくさんみなさい」といわれたそうなのですが、考えてみると、少経験者は先輩の授業のどんなところをみればよいのか、なんのためにみればよいのか、そこからどんなことを学べばよいのか、ということがそもそもわからないわけです。

 ですので、そういうときには、管理職の方が一緒に授業をみて、こういうところがよいねとか、あそこはこういうふうにするともっとよい授業になるね、といったようなことを明確に伝えてあげるとよいのではないかと思います。

 また、彼女は、「悩んでいても前進しないよ。とにかくやってみよう」というようなこともいわれるそうなんですが、いつも「そんなこといわれても」と思っていたそうです。

 実はこれも当然で、そもそも少経験者はどちらに前進したらよいのか、つまりどちらが正しい「前」なのかがわからなくて困っているのですから、ただ「なんとかなるさ」とか「がんばれ」とかいうのではなく、その人の状況をきちんと把握したうえで、進むべき方向を示してあげるべきではないでしょうか。

 このほかにも、私たちはよく少経験者に対して「教員にとっていちばん大切なのは、よい授業をすることだよ」というようなことをいいますが、いわれるほうとしては「そもそもよい授業ってどんな授業なの」「そのためには、なにを、どうすればよいの」ということがわからないわけですから、そうやって伝えるだけで教員を育てているつもりになっていては大間違いだと思います。

 残念ながら、毎年、せっかく教員採用選考試験に合格しても、1年もしないうちに辞めてしまう方が何人かみえますが、より具体的な、そして、実現するための手だてまで提示するようなアドバイスをしながら、すてきな教員を育てていけるとよいなと考えています。

(東海市立三ツ池小学校長)

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