「志」「学ぶ」「情熱」を胸に~我ら鈴渓の子!~ 常滑市立小鈴谷小学校

はじめに

 本校は、明治21年に創立された「鈴渓義塾」の流れをくむ伝統校である。

 鈴渓義塾は、小鈴谷(こすがや)の盛田本家第11代当主の盛田命祺(めいき)翁と塾長の溝口幹(みき)先生の熱意と努力により私塾として誕生した。この鈴渓義塾からは、トヨタ自動車中興の祖といわれる石田退三氏、敷島パン創業者の盛田善平氏、言語学者の石黒魯平氏などそうそうたる人物が輩出されている。また、直接の卒業生ではないが、ソニー創業者である盛田昭夫氏も、この小鈴谷に大変縁の深い人物である。

 この鈴渓義塾は「志」「学ぶ」「情熱」の3つの柱を教育方針としていた。これは、知多半島出身の儒学者である細井平洲先生の思想から導き出されたものである。溝口先生は「世に出て何をしたいのか『志』をもつこと。その志をもつために『学ぶ』こと。そして志をもち続けるために『情熱』をもつこと」と、この3つの柱の大切さについて述べている。

 本校では、この鈴渓教育の柱である「志」「学ぶ」「情熱」を大切にし、総合的な学習の時間などの学習や特別活動などの時間を通して鈴渓の心を学び続けている。

鈴渓の心を学び伝える

 本校には、儀式において校歌と共に歌われる「我ら鈴渓の子」というオリジナルソングがある。この歌には、鈴渓義塾の創立や輩出された人物の活躍、そして先人に続こうという意気込みが込められている。1・2年生が、この「我ら鈴渓の子」をしっかりと覚え、歌えるようになることから、鈴渓の心の学びが始まる。

鈴渓資料室と『鈴渓読本』

 また、本校の大きな特色として、平成27年に鈴渓義塾に縁の深い方や団体からの寄付により新しくなった「鈴渓資料室」の存在が挙げられる。単に、学校の収蔵品を収納・保管するだけではなく、鈴渓義塾に関する解説や関連資料がテーマに沿って分かりやすく展示されている。学校外からも、郷土研究者など多くの方が、見学に訪れている。3年生からは、総合的な学習の時間に「鈴渓の心を伝えよう」をテーマに、鈴渓義塾が輩出した偉人や地域で活躍した人物を紹介した『鈴渓読本』や鈴渓資料室の展示資料を活用し、地域学習として鈴渓の心を学んでいる。とりわけ、戦後にトヨタ自動車を発展に導いた石田退三氏やソニー創業者の盛田昭夫氏の活躍は、子どもたちに大きな刺激を与えている。この学習を通して、子どもたちは、郷土小鈴谷への誇りをもち、愛着を深めている。今後も、鈴渓の心の学びを通して、小鈴谷への愛着と誇りをしっかりと育んでいきたい。

最後に

 鈴渓義塾の教育では、思いやりと優しさである「恕」「忍びざるの心」も教育の柱として大切にされていた。この優しさと思いやりを育むことも、本校の学校経営の大切な柱である。異学年の縦割りカラー班を組織し、児童会を中心に集会活動を行い、他者への思いやり、感謝の心を育んでいる。

 今後も、「志」「学ぶ」「情熱」を胸に、未来に向けて、そして世界へ羽ばたく「鈴渓の子」を育んでいきたい。 

 (文責・渥美博生校長、執筆者・村上正輝前校長・現尾張教育事務所指導第二課長)

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