
外山滋比古氏は、その著作が国語の教科書に採用されたり、入試問題に引用されたりすることも多い、愛知県出身の言語学者です。
近年では、東大生や京大生がよく読む本、中日ドラゴンズの根尾昂選手の愛読書として『思考の整理学』も再注目されていました。本書は、私が国語教師として中学校に勤務していたころによく読み、自分の学級で学級文庫としても並べていた一冊です。時代によって「ことば」も変化はしていくものですが、「古くからある日本語をもっと大切にすべきである」という一文に、国語を教える立場として心に留めておかねばならないと思ったものです。
また、「ことば」が、人と人との関係を決定づける力をもつことを述べる章では、私たちが子どもたちや保護者に対してかける「ことば」の影響力を再認識させられます。今、校長として、よりいっそう「ひとこと」の重さを実感しながら日々を過ごす座右の書として読み返しています。
(児島千尋・犬山市立東小学校長)