(こだま)家族のかたち……

 67年間にわたって愛知の家庭教育を陰で支えてきた『子とともに ゆう&ゆう』(愛知県教育振興会発行)が、6月で800号を迎える。創刊当時は、戦後復興も軌道に乗りつつある中で、国民の目も家庭教育に向けられ始めてきたころだった。以来、折々の教育・家庭問題を鋭く取り上げてきた。活字の乏しかった我が家にも、毎月届けられる本誌が茶だんすの上に積まれているのを子供心に覚えている。

 時代や社会が変われば「家族のかたち」も変化する。三世代家族が急減し、一人で暮らす人も増えている。「核家族」という言葉が流行語となったのもそのころ。夫婦や親子だけが家族ではなく、多様性に富んだ家族のありようがあるという考え方が必要になってくるのだ。

 気に入らないことがあれば怒鳴り散らし、ちゃぶ台をひっくり返して家族に鉄拳を振るう「昭和の頑固親父」を最近とんと見なくなった。その姿を小林亜星が演じた「寺内貫太郎」に重ね合わせた人も多いのではないか。中央にちゃぶ台が一つ。小だんすに食器棚、電話台に一輪挿し。そんな殺風景な茶の間にでんと貫太郎が座っているのである。

 実は意外と知られていないが、貫太郎のモデルは『寺内貫太郎一家』の脚本を書いた向田邦子の父だった。向田の随筆には「父の詫び状」「字のないはがき」など、度々父親が登場する。寡黙で、時に理不尽に怒るが、心の底では家族を温かく見守る「一家の大黒柱」としての威厳をもった父親である。

 『子とともに ゆう&ゆう』(2009年3月号)では、「集まれ!おやじの力」を特集した。子育てへの悩みや不安を抱えながらも子供たちに関心をもち、「おやじの会」に積極的に参加する父親の姿を浮き彫りにした。そこには、「昭和の頑固親父」も「ちゃぶ台をひっくり返すかみなり親父」もいない。

 時が移り、「家族のかたち」は変わっても、忘れてはならないのは「家庭教育は全ての教育の原点」であるということだ。

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