(提言)ピンチをチャンスに変えて

名古屋市教育委員会指導部指導室首席指導主事 小島治彦

 新型コロナウイルス感染症は、人々の生活様式や経済をはじめ社会全体に大きな影響を及ぼし、学校教育においても、さまざまな対応や変革を余儀なくされました。

 2020年3月2日から全国一斉の臨時休業が実施され、同年6月1日からの教育活動再開後も、感染拡大防止のために、子どもたちの学校生活は大きく変わりました。各学校では、本市の感染症対策マニュアルに基づき、換気の徹底や身体的距離確保のための教室の座席配置の工夫など、集団感染リスクへの対応を行ってきました。また、リコーダーの演奏や調理実習など感染リスクが高い活動を控えたり、学校行事を延期または中止、規模縮小して実施したりしました。

 子どもたちが楽しみにしていたさまざまな教育活動を制限しなければならなかったことは、大変心苦しく思っています。しかし、学校現場で、教師や子どもたちが感染症対策に配慮しながら工夫して取り組んだ教育活動が、「予想以上によかった。子どもの成長が見られた」という声も聞いています。

 例えば、「毎年、同じ目的地、同じ行程で計画していた修学旅行を見直したことが、充実した体験活動の実施につながった」「密を避けるために日程を分けて授業参観を行ったところ、保護者がゆったりと子どもたちの様子を見ることができた」などの好事例があります。オンラインでの学習も、密や対面を避けるために実施するとともに、遠く離れた他県や他国の学校との交流活動に活用している学校もあります。

 働き方改革や主体的な学びの視点から、これまでも学校行事の精選や見直しを目指していたものの、なかなか大きな改革には踏み切れなかった学校も多くあると思います。今回の感染症対策に伴う対応は、教育活動を大きく変える契機となりました。

 中教審答申「『令和の日本型学校教育』の構築を目指して」によって、新たな教育施策の指針が示され、本市においても、教育改革を市全体で推進するため、「Nagoya School Innovation(ナゴヤ スクール イノベーション)」と銘打ち、子ども一人一人の興味・関心や能力、進度に応じた「個別最適な学び」と「協働的な学び」の一体的な充実を推進しています。22年度も、授業改善の推進、新時代の学びを支える環境整備、広報・啓発を大きな柱として、さらに取り組みを進めていきます。

 各学校では、コロナ渦のピンチをチャンスに変えて、社会が劇的に変化する中で、子どもたちが、自らの可能性を最大限に伸ばし、持続可能な社会の創り手となることができるよう、新しい学校の姿を目指すことが大切だと考えています。

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