(読者の窓)伝統をつむぐ

 本校は来年度開校50周年を迎える山間へき地の複式校である。地域に根差した学校であるため、自慢できる本校独自の伝統がいろいろある。そのうちの2つを紹介する。

 1つ目は、学区に自生する雁皮を用いた和紙作りである。すいた紙を使い、地域のお年寄りの方々への絵手紙を描いたり、校章入りにすき、卒業証書を作成したりしている。学区の山で採集し、皮をはぎ、大鍋で煮て時間をかけて繊維をたたく。手伝ってみたが、なかなか重労働である。出来上がった証書に校長自ら揮毫する。卒業生一人一人のことを思い浮かべながら氏名だけでなく、文章も全て揮毫する。私にとってもよい思い出となる。

 2つ目は、アルプホルンの吹鳴(すいめい)演奏である。1990年、地元の檜をくりぬいて長さ約3メートルのアルプホルンが造り上げられた。そのホルンを使い、毎始業前のチャイムと、学校行事の折のオープニング、エンディングに吹鳴する。児童数が少ない複式校であるため、5年生時に一緒に体験をし、6年生になった時に伝統を受け継いでいた。児童に負けずに取り組んでみたが、なかなか音が出ない。ウグイスの不十分な鳴き声を「ぐぜり鳴き」と言うそうだが、最初のころ聞かされる音はひどいものである。年度末にはアルプホルンの引き継ぎ式が行われる。そのテスト前にはぐぜり鳴きが一層にぎやかになる。引き継ぎ式には6年生は素晴らしい吹鳴を奏でるようになり、美しく鳴くウグイスが巣立つように卒業を迎える。児童の頑張りに脱帽である。

 (牧野吉伸・新城市立鳳来東小学校長)

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