学習評価について考える ―第34回調研セミナーin名古屋―

 (一財)教育調査研究所が主催する「第34回調研セミナーin名古屋」(協賛:教育新聞愛知支部)が6月18日、Zoomライブによって行われた。「学習評価について考える」をテーマに、基調講演、パネルディスカッションを通して今求められる学習評価について理解を深めた。今回、より視聴しやすいようにするため6月23日から7月4日までWEB配信期間を設けた。ライブは約60人、WEBは約250人が参加した。

 小学校の実施を皮切りに、新学習指導要領による教育が本格的にスタートした。新学習指導要領では児童生徒が身に付けるべき能力も新しく規定され、3つの柱(「知識及び技能」「思考力、判断力、表現力等」「学びに向かう力、人間性等」)が重視されるようになる。それに伴い、評価はどのように変わるのか。

  ◇ ◇ ◇

 石井英真氏(京都大学大学院教育学研究科准教授)は、基調講演で次のように語った。

  • 評価とは何か。「見取り」「評価」「評定」の概念を整理しなければならない。「見取り」は見えるもの、「評価」は見るべきもの、「評定」には根拠が必要である。 
  • 教師にとって「見える」ということは、生徒目線で教育活動を構想し、生徒の学びを想像する力である。
  • 「指導と評価の一体化」の前に、「目標と評価の一体化」を追求してみることが必要である。
  • 子供の学びが可視化される豊かなコミュニケーションが展開されることが重要である。「見せ場」を設定していくことが大切となる。
パネリストとコーディネーター

 基調講演に続いて、石井英真氏、樺山敏郎氏(大妻女子大学児童学科教授)、赤沢真世氏(佛教大学教育学部准教授)をパネリストとしたパネルディスカッションが行われた。コーディネーターは、寺崎千秋氏(教育調査研究所研究部長)である。

 樺山氏からは、国語科の学習評価について話があった。

  • 子供の学習と教師の指導の改善を一体的に検討し、それに一貫性をもたせる工夫を重ねる必要がある。身に付いた資質・能力が曖昧な教科と言われる国語科は、信頼を得る方向として、教師の評価の方針や結果について学習者へ説明責任を果たさなければならない。
  • 教師の評価力を高めるためには、単元や一単位時間の出口において求める具体的な子供の姿をクリアに描くことがカギになる。
  • 教師には見えないものを見ようとする洞察や創造の力を磨いていくことが求められる。

 また、赤沢氏からは、小学校英語科の観点から学習評価について話があった。

  • 最終的に何ができればよいのか、つまり「目標=評価基準」を具体的にイメージできることが重要だ。
  • 単元最後のパフォーマンス課題の評価に向けて子供の姿や作品を見取る視点へと具体化し、共有することが必要となってくる。
  • 子供が本当に学びたいと思う授業ができれば、おのずから主体性は出てくる。それを支援する教師は評価することを嫌がらずに、子供と一緒に楽しい授業を作ってほしい。

 寺崎氏は最後に、

  • 戦後の評価の歩みは指導の評価から子供主体の評価に変わってきている。今回の改訂では「学びの評価」が前面に出ている。大きな転換期だ。本セミナーがそれを具体化していく重要なポイントとなった。

 とまとめた。

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