(こだま)学校のトイレ事情……

 コロナ禍で「トイレ掃除」の話題ははばかられるが、一昔前シンガーソングライター・植村花菜さんの「トイレの神様」がヒットしたことがある。

 植村さんは、毎日お手伝いはしてもトイレ掃除だけは苦手。おばあちゃんは言った。「トイレにはそれはそれはきれいな女神様がいるんやで。だから毎日きれいにしたら女神様みたいにべっぴんさんになれるんやで」。おばあちゃんは、かつて日本人が「ご不浄」と呼び、忌み嫌ってきたトイレの掃除をすることで心が磨かれるのだと教えてくれている。多くの企業でもトイレ掃除を大切にして従業員の働くモチベーションのアップにつなげていると聞く。

 トイレといえば、新1年生のトイレ事情が気になるところ。ほとんどの家庭に和便器がなくなり、その使い方を新入生に教えることは担任が最初にする指導の一つだ。

 文科省の「公立小中学校施設におけるトイレ状況調査」(2020年)によると、公立小中学校における全便器数は約136万個であり、そのうち洋便器は約77万個、洋便器率57%。(ちなみに愛知県は55%)和便器よりも洋便器を多く設置する方針の学校設置者は全体の約88%であった。トイレ整備も随分進んでいるようだ。

 トイレ掃除に話を戻す。以前勤務していた学校に、25年間にわたって毎年欠かさず大みそかに母校のトイレ掃除を続けている卒業生がいた。お世話になった母校への恩返しをしたいという一心であるとのこと。かけがえのない卒業生であり、まさに「トイレの神様」に違いない。

 トイレ掃除を扱った詩に、旧国鉄職員(浜口国雄)の体験による「便所掃除」がある。客が汚した便器を美しくするのが「ぼくのつとめ」。こびりついた便をたわしで落とすと、心に染みた臭みまで流れ落ちるようだという。詩の終わりはこう閉じられている。「便所を美しくする娘は/美しい子供をうむ/といった母を思い出します/ぼくは男です/美しい妻に会えるかもしれません」

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