(提言)流行をうまく利用して

三河小中学校長会長 保科 克之

 私の勤務する豊田市では、この6月に1人1台のタブレット端末へAI搭載型のデジタルドリルが導入されました。7月から授業で運用できるように、本校では校内現職教育でその操作方法や効果的な使用方法について、職員研修を進めているところです。

 すでに授業や家庭学習で盛んに運用している郡市、今後導入が予定されている郡市も増えてきており、子どもたちの学びの中で、デジタルドリルが大きな比重を占めるようになることは間違いありません。

 ドリル学習を進めるほどに、AIがその子の能力やつまずきを把握し、その子に適した問題やつまずきを補完する問題を提示する。その機能には目を見張るものがあります。もちろん「学習の孤立化」に陥ることのないように、子どもの学習状況を十分に把握した上で、必要に応じて教師が声掛けをしたり、多くの子が立ち止まってしまうような局面では、手を止めさせて基礎基本を習得するための「協働的な学習」を適宜展開したりすることは重要です。

 しかし、デジタルドリルにより、「個別最適な学習」の一つの柱である「指導の個別化」の効率化は大きく進むはずです。そして、その分「個別最適な学習」のもう一つの柱である「学習の個性化」や、探究場面における「協働的な学習」に費やす時間を増やし、充実させることが求められます。単元を通して解き明かしたいことや目指すべき目標を学級の全員で共有し、一人一人が自分の能力や関心に応じてどんなアプローチをするかを考える。そして、必要な情報を収集し、考察し、討論し、さらに考察を重ねる。個性的な学びが協働的に絡み合いながら大きなうねりをつくる。そこに、デジタル機器による効果的な支援が入る。

 このような展開が今後の学校教育の柱になってくることでしょう。逆に、このような展開を構築できなければ、デジタルで事足りてしまい、学校の存在意義が薄れてしまいかねません。デジタルドリルの利活用はその第一歩であり、その先に大きな学校教育への期待があると考えます。流行をうまく取り込み、不易ともいえる深く、広く、粘り強い学びを充実させるべく、自分自身も一同人として校内授業研究に精進したいと思います。

 (豊田市立挙母小学校長)

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