かおが似ているから「かば」と呼ばれた電気機関車「EF551」は、特急列車としてたくさんのお客さんの笑顔を乗せて走っていた。しかし、戦争が始まると戦地へ向かう兵隊や武器を運ぶようになる。やがて空襲が仲間の機関車や列車を壊し、燃やしていった。鉄道で働く人たちも、お客さんも大勢亡くなり、対戦国でも同じようなことが行われている。「なぜ、せんそうをはじめたの? どうしてやめないの?」 終戦から73年が過ぎ、当時を知る人が少なくなる中、多くの人々に愛された、かば電車の視点で戦争の様子が語られる。……

新潟の雪は、重たい。「しんしん」「ずしんしん」「ずしんずしんしーん」、冬眠しているマムシが感じる雪の重みから、日本の雪国ならではの光景が思い浮かぶ。 人間や動物にとっては嫌われ者のマムシを主人公とし、マムシの視点から新潟の四季が描かれる。……

[caption id="attachment_90002" align="alignright" width="300"] ネットワーク編集委員会 編
学事出版
1600円+税[/caption]  若手からベテラン教師までの授業を題材に、授業記録の意義や在り方が示されている。授業記録の意義は「教師が自身の授業を客観視しながら、リフレクション(内省)できる」点と言及。実践を自他で振り返りやすい「ストップモーション方式」の記録方法なども提案する。  1冊の教育書を2人の教師が評する章も興味深い。対象の書籍は「『学級』の歴史学」(柳治男著)「いじめの構造」(内藤朝雄著)をはじめ盛りだくさんだ。「学習に何が最も効果的か」(J・ハッティ著)には、奈良県と山形県の公立小学校教師が寄稿。同書の効果的な教育活動の分析結果に、一人は「宿題や習熟度別グループ編成などは教育効果が乏しい」と指摘し、もう一人は「(教師の)経験則に基づく教育活動の危うさに気付かされる」と見解を述べる。それぞれ異なる評から、授業探究への有意義な気付きが得られる。  NPO法人授業づくりネットワークの石川晋理事長による特別寄稿「授業記録を読むということ」では、よい授業記録が実践にもたらす影響の大きさについて述べている。……

[caption id="attachment_90014" align="alignright" width="300"] 國分康孝 著、國分久子 監修
図書文化社
1800円+税[/caption]  構成的グループエンカウンター(SGE)は自己発見と他者理解を深め、児童・生徒の人間関係づくりを促進する手法であるとして、近年その有効性が強調されるようになった。著述と監修を務めた國分夫妻は、40数年にわたってSGEワークショップを主宰。研究を積み重ねてきている。  本書は夫妻による実践と検証の蓄積を基に、SGEの方法やSGEリーダーの心得、子供にとってのSGEの意義と可能性を分かりやすく伝える。専門的でありながら、実践例・体験例は入門書としても役立つ。  SGEが現在、都道府県教委の研修会で実施されるなど、全国的な広がりを見せている理由について、「SGEの思想が教育者のみならず現代を生きる人たちにとって意味があるから」という。……

[caption id="attachment_90008" align="alignright" width="300"] 中原淳 監修、高橋俊之・舘野泰一 編著
北大路書房
2200円+税[/caption]  プロジェクトを前に進めたいのに進められない。日本のあらゆる組織でリーダーシップの欠如による問題が露呈し、活力が失われている。組織の中でリーダーシップを発揮できるようなトレーニングが必要だ。それも、できるだけ早いうちから。  「リーダーシップをどう身に付けさせるのか」という視点で高校や大学の教育を捉え直そうという大きな試みである。編著者の舘野はこれからのリーダーシップを、目標達成のため他のメンバーに影響を与えるあらゆる行動で、全ての人が発揮するものと定義する。  立教大学経営学部の「リーダーシップ入門(BLO)」をはじめ、教育の事例でどんな力が身に付いているのか分析している。……

[caption id="attachment_89999" align="alignright" width="300"] 渡辺由美子 著
水曜社
1400円+税[/caption]  「大学生ってほんとうにいるんだ」「夢なんかない、働きたくなんかない」。貧困家庭の子供たちのための無料塾「キッズドア」の門を叩く子供たちは、こんな言葉を口にする。運営する渡辺由美子氏は「彼らにとって大学生は野球選手のように特別な人がなれるもの」「毎日パートを掛け持ちして疲れ切って帰宅する親御さんの姿を見ていて、仕事のイメージが偏っている」と、子供たちの言葉に潜む悲しい本音をおもんぱかる。  貧困だから塾に行けない、参考書が買えないという単純な問題だけではない。直接的な教育の前に生活や文化の環境で、裕福な家庭と大きな差があるという。子供部屋や勉強机を持てず、食卓の隅でテレビを見る家族を横目にノートを広げたり、布団の上にお盆を置いて受験勉強したり、家庭学習さえ苦労する子供もいるのだ。  彼らが救いを求めるキッズドアでは大学生や社会人ボランティアが一人一人の子供たちと向き合う。……

[caption id="attachment_90005" align="alignright" width="300"] 中島敦 原作/小林豊 文と絵
あすなろ書房
1400円+税[/caption]  紀元前3世紀の中国の都・邯鄲(かんたん)で、天下一の弓の名人を目指した紀昌(きしょう)は、弓の達人・飛衛(ひえい)に弟子入りをし、最初の5年間を目の鍛錬に費やす。石つぶてが飛んできてもまばたきをせず、小さなノミが馬ほどの大きさに見えるまでになり、その後始まった弓の上達も驚くほど早かった。  「もはや、自分は師を超えたのではないか?」と考えた紀昌のごう慢な心に気付いた師匠は、弓を使わずして大空のトビを射落す不思議な技を持つ老師の元へと、紀昌を導く。すでに名人の域に達していた紀昌であったが、そこからさらに成長を遂げる。  真の名人は何を射抜いたのか。……

[caption id="attachment_90011" align="alignright" width="300"] 「海のしごと」編集委員会 編
成山堂書店
2000円+税[/caption]  四方を海に囲まれ、国土が狭く資源に乏しい日本は、ほとんどの食料・資源エネルギーを海外からの輸入に頼っており、その99.7%は海から運ばれている。  日本人にとっての「海の重要性」を、産業、保安、環境調査・保全というテーマに分け、それぞれに関わる職業にはどのようなものがあるのか紹介している。  取り上げられているのは、船長や航海士、海上保安官や海洋調査などの高度な専門性を持つ職業。……

[caption id="attachment_86383" align="alignright" width="300"] 平川理恵 著
教育開発研究所
1800円+税[/caption]  著者は、民間出身の校長として横浜市の公立中学校に勤務し、注目を集めている。校長経験を踏まえ、新学習指導要領を実現するための学校改革への提言を示す。同要領のキーワード「社会に開かれた教育課程」「主体的・対話的で深い学び」などの実現は、学校単独の取り組みでは不可能とし、「学校のよい部分、悪い部分をすべてつまびらかにして、地域や保護者から力を借りる」と強調している。  1章「学校改善のマネジメント」で、複数の提案を掲げる。「ビジョンをどう実行・実践するか」では、日々の問題対処だけでなく、管理職が学校経営の理念と展望、見通しを押さえることを助言。校長と副校長・教頭が緊密に協働し、月々の目標設定と前月の振り返りを行う「見える化」が重要とする。  教員数が多い学校の情報共有のアイデアでは、全教員が出勤した際、各自のPCを介した掲示板で生徒指導報告などを確認する事例を示す。……

[caption id="attachment_86386" align="alignright" width="300"] 藤川大祐 著
学事出版
1800円+税[/caption]  2018年度から小学校で、19年度からは中学校で教科化されることになった「特別の教科 道徳」。学校の道徳授業が人々の道徳性を高めていると実感している人は、少ないのではないか。なぜ、誰のために道徳は教科化されるのか。そんな疑問を、本紙コラムでおなじみの藤川大祐氏が読み解く。  「私たちが迷い込んだのは、『考え議論する道徳の迷宮』」と冒頭にあるように、新指導要領では道徳の授業において考えること、議論することを重要視する。  筆者によると「考え議論する道徳の迷宮」は、▽自分自身▽人との関わり▽集団や社会との関わり▽生命や自然、崇高なものとの関わり――の四つの扉から成り立つ。……

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