次年度に担任が変わったら荒れるだろうと予測できるクラスがある。担任が君臨し、強圧的にクラスを支配するようだと、次年度が危ない。必ず荒れると言い切れないのは、次年度の担任の学級経営に左右されるからだ。
圧力は反動を生む。4年生のあるクラス。担任がいる時間に笑いはほとんどなく、明るさや覇気がなかった。担任が厳しすぎるからだ。大声で怒鳴る教員だった。担任の圧力で、子どもたちは抑えつけられていた。5年生になり、その担任の圧力から解放された途端に荒れた。
4年生には高学年ほどのパワーがないし、反抗期の子も少ない。強圧的な担任に支配されてしまう。5年生になり、子どもたちが思春期に入り始めたとき、それまで抑圧されていたエネルギーが爆発した。4年生の担任は「去年はピシッとしていたのに」と、自分の責任だとは思わない。
関西の私立小学校勤務の多賀一郎氏と、北海道の公立中学校勤務の堀裕嗣氏の共著、『国語科授業づくりの深層』に続く、「深層」シリーズ第2弾。
小学校の学級担任王国の問題、学級崩壊の多い5年生11月の問題、スーパーティーチャーの限界、語られない失敗事例、子どものいじめを察知できるか、SNSの弊害――。立場も年齢も違う2人の現役教員が、互いを触媒にして化学変化を起こしながら、今日の教育現場の重要課題を縦横無尽に語る。