学校でしなやかに生きるということ

石川普 著 フェミックス 1500円+税
石川普 著
フェミックス
1500円+税

著者の日々の教職経験や思いをもとに綴った。書名の「学校でしなやかに生きる」が、現在、とても困難になっているのを肌で感じながら、現状のリフレクションを草の根でユーモラスに楽しく進めたいと願う。

学校現場の今を示す「教室をめぐる21の風景」では、全ての子を明るく見守るとの思いで多くの学校が実施しているであろう「朝のあいさつ運動」などの例を挙げる。

これは生徒たちが、元気で明るくはきはきした受け答えをし、社会で有用な人になれるようにとの願いを込めた「善意」の教育活動の一つと著者は認める。一方で、部活動のプレッシャーも影響し、学校を休みがちな一人の生徒の思いも見つめる。そして、「これでは今日も学校に来られないだろうな」との思いをつぶやく。

さまざまな子どもの状況と育ちがある中で、「全ての子が元気で明るくはきはきしているのは、気持ちの悪い社会ではないか」と指摘。学校は、ともするとそんな妙な善意にあふれているのではと、問いを投げ掛ける。

「雑談ってステキなのに」を訴える章では、複数のユニットに分けて展開するオムニバス授業と雑談の魅力を強調している。

子どもが成長したとき、授業内容で強い記憶に残るのは、予想外のハプニングや雑談だとし、教師は「心に移りゆくよしなしごとをそこはかとなく」語る商売と語る。

多くの教師の「そうは言っても」を受け止めつつ、ゆるやかに諦めず、楽しく学校と指導を見つめ直す視座が詰まっている。

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