未来への伝言

こやま峰子 著 藤本将 画 未知谷 1500円+税
こやま峰子 著
藤本将 画
未知谷
1500円+税

先の大戦下に生きた9歳の少女の目に、出征兵士やその母親、隣組、防火訓練、空襲などが、どんなふうに映っていたのか。その女の子は、子ども時代の著者である。

一つひとつの思い出が、短い文につづられる。戦時下に始まり、焼夷弾の直撃を受けた友達の突然の死、疎開先の寂しさやいじめや本の世界への没入、戦後の東京、安保デモ、ビートルズの来日など経て、今の思いにまで短文は至る。ヒロシマを訪れた「澄んだ瞳のチェ・ゲバラ」や沖縄などにも及ぶ。それらは未来への記憶の伝言であり、詩であり、祈りでもある。

結びの題は「試練」。私たちが、時の試練の前に立たされているのを思い起こさせる。詩人はそこで語る。「あきらめず 明日へ あゆみつづけたい」

いかなる明日へか。記憶の伝言の思いを響かせた明日へと。

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