日本国憲法の真実

高尾栄司 著 幻冬舎 1700円+税
高尾栄司 著
幻冬舎
1700円+税

歴史は、重大な出来事や事件で大きく動く。同時に、ささいな対立や発言、メモ書きなどからも動き始める。

日本国憲法は、敗戦という大きな出来事から生まれた。そして、連合国軍最高司令官ダグラス・マッカーサーが口述筆記させた、新憲法起草に際して則るべき指針を書いたメモ書きに端を発する。

この指針に基づき、にわか作りの作業班が素案を作成した。占領下の日本でかき集められた、アメリカやソ連、ワイマールなどの既存の憲法や宣言を、ときに巧妙に、ときに不器用に縫い合わせて、その素案は出来上がった。しかも作業班には、弁護士資格のある者がわずかにいただけだった。

こうした経緯を丹念に追い、関係者の親族などを直接訪ねて聞き出した数々の事実を積み上げながら、日本国憲法の成立史を、ジャーナリストの目でまとめた。それは、受け入れられ認知されている既存の成立史とは異質のものだった。

特に、作業班に加わり、その関係者が世を去った後に「私が男女平等条項の起草者」「女性の権利の生みの親」と名乗り出たベアテ・シロタ・ゴードンについて、その虚構を明らかにしていく。

こうした営為によって生まれた労作である。既知の憲法成立史に対するこのカウンター・レポートに、どう答えていくか。まさに、アクティブ・ラーニングの素材を提供してくれる。歴史は、問い続ける営みを通してしか、真実を開示してくれない。

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