たまたまタヌキ

内田麟太郎 文 高畠那生 絵 佼成出版社 1300円+税
内田麟太郎 文
高畠那生 絵
佼成出版社
1300円+税

おれは、まことにタヌキであろうか——。さまざまなものに化けてきたタヌキは、ふと疑問に思った。思い返すと、4日前は大会社の社長だった。その前はジャンボ機のパイロット。その前は横綱だった。その前はなんだっけ。いつの間にか、「本当の自分」を思い出せなくなった。

そのとき、目の前に現れたカラスが一言。「おまえは今、たまたまタヌキなだけだ」

変身を重ねたタヌキが、「本当の自分」を知るために思いを巡らす様子を描く。考えに考え抜いてたどり着いたその姿に、あっと驚かされ、思わず笑みがこぼれる。大胆でシュールな絵柄もユニークだ。

自分ってなんだろうと、誰もが一度は考える。ともすれば幼少期にはじめて出会う哲学かもしれない。読み終えた後、子どもと「本当の自分」について話してみるのもいいだろう。