僕は上手にしゃべれない

椎野直弥 作 ポプラ社 1500円+税
椎野直弥 作
ポプラ社
1500円+税

言える、言える、言える……でも言えない。心の中で何度も唱えたけれど、名前が言えない。中学校の入学式の日、自己紹介から逃げ出した。この苦しみを誰も分かってくれない——。

吃音に悩む悠太は、部活勧誘の「誰でも上手に声が出せるようになります」との言葉に引かれて放送部に入部。出会った先輩や同級生、家族の優しさに触れ、悩み、葛藤しながら吃音に立ち向かう。

吃音を隠そうとしたり、吃音を理由に物事から逃げたくなったりする心理。笑われている感覚。将来への不安。そんな思いを包み隠さずに描く。担任として学級で配慮したい事柄についても考えさせられる。

著者自身も、子供の頃に吃音に苦しみ、周囲の支えで克服した。作品を通じて吃音者の思いを理解できるようにと、悩みを抱える若者にエールを送る。