教師失格 夏目漱石教育論集

教師失格 夏目漱石教育論集 夏目金之助 著 大井田義彰 編 東京学芸大学出版 1500円+税
夏目金之助 著
大井田義彰 編
東京学芸大学出版
1500円+税

今年生誕150年を迎えた文豪・夏目漱石の、教育者としての側面に光を当てた。漱石が教育に関して述べた文章や講演・談話を集めたアンソロジー。

3章構成で、1章「教師への道」では、漱石が教師を志すようになるまでの遍歴や、学生時代のエピソードをつづった3編が収められている。2章「学校教育と語学養成法」は、中等教育の在り方を総合的に論じた論文のほか、主に英語の能力育成にあたって学校や教員、教科書の改善点について持論を述べた講話などの5編で構成。3章「教育と文学と人生と」では、社会の転換期に学校教育で育むべき人間像について述べた漱石の代表的講演などの筆記録が2編収められている。どの文章にも、漱石の教育に対する深い造詣と、彼特有のユーモアがにじむ。

「余は教育者に適せず」とは自らを評した漱石の言葉だが、彼の筆致・弁舌からは、その裏に隠れた教育に対する高い理想を垣間見ることができる。漱石が生きた時代と同様に、大きな転換期を迎えている現代の教育について考えるとき、その思考と感性は大変示唆に富む。

編者は、東京学芸大教授で、平成21年4月から24年3月まで、同大附属小学校の校長を務めた。理解を助ける編者による解説、コラム、注釈のほか、漱石略年譜を収載。

教員志望者はもちろん、中高生や文学好きにも楽しめる内容となっている。