発達障害の「教える難しさ」を乗り越える 幼児期から成人期の自立へ

河野俊一 著 日本評論社 1400円+税
河野俊一 著
日本評論社
1400円+税

教育を通して、子供たちと親がどのように変化し、成長し、その先の人生をどう過ごしているのかをつぶさに追っている。そこから見えてきたのは、教育は、将来子供たちが自立した大人として生きていくためにあるという、極めて当たり前の、しかし見落としがちな真理だ。

著者は学習教室「エルベテーク」の代表。同教室には、全国から発達上の課題がある子供たちが集まってくる。前半の章では、子育てに悩んだ末にこの教室と出会い、教える難しさを乗り越えた親たち6人の実体験が記されている。

彼らの多くは専門機関から「発達の遅れや課題を『個性』や『特性』と捉え、子供の気持ちを尊重すべき」と助言を受ける。だが著者は「教える難しさ」を回避しているに過ぎないと指摘する。どう育ちたいかを幼い子供に聞いて確かな答えがあるはずもなく、大人が教え導かなければならないと。

子供たちに読み・書き・計算などの学習がなぜ必要なのかについても詳述している。学習の持つ確かな力を信じ、親たちは根気よく、毅然とした態度で子供たちに向き合う。後半の章には、「学ぶ難しさ」「教える難しさ」を乗り越えた親子の、その後の様子が描かれている。

有名大学に通うかたわら、現在、教える側として教室を支える春野君のエピソードは、同様の経験がある子供の心情に寄り添う内容である。親や教師には道しるべとなろう。