うし

内田麟太郎 詩 高畠 純 絵 アリス館 1300円+税
内田麟太郎 詩
高畠 純 絵
アリス館
1300円+税

登場するのは、牛だけ。シンプルな話の流れに、その世界にぐいぐい引き込まれていく。

内田麟太郎作の詩「うし」が、ユーモラスに描かれている。

開扉すると、後ろ姿の牛。それだけでもユニークだ。牛を、顔から正面に捉えない。正面よりも、後ろ姿のほうが、より一層、牛の生に迫っていけるようだ。その牛が振り返る。

そして、その後ろにいた牛も、いったんは正面から描き、次には振り返らせる。こうして、次々と、牛たちが正面を向いては振り返る。そのリズムが小気味よい。

川柳ふうに描写すれば、「牛どもが なんだなんだと 振り返る」。そうして群れ集う牛たちが最後に発する声は「もう」。

他意のない“遊び”が、ページをめくるたびに、繰り返される。生の躍動と連鎖は、こうして繰り返されていく。