グループの中に癒しと成長の場をつくる

J・ショーエル/R・S・メイゼル 著 みくに出版 4000円+税
J・ショーエル/R・S・メイゼル 著
みくに出版
4000円+税

野外教育などの体験学習の手法を、プロジェクトアドベンチャー(PA)と呼ぶ。このPAをカウンセリングに用いたアドベンチャーベースドカウンセリング(ABC)の事例と手法について、体系的にまとめている。PAは近年日本でも注目を集めており、訳者はPAの手法や教育効果について、学校や企業に普及を図る国内団体だ。

アドベンチャーというと縁遠く感じるが、体験活動ならば学校教育の中でさまざまなプログラムが組み込まれている。その教育効果の1つは、集団での信頼関係の構築。人と人とが1つの目標に向かって協力し、成功や失敗を経験しながら次第にまとまっていく。

米国のカウンセリング現場に基づいているため、事例には薬物依存の青少年などが登場する。そのため、日本の学校現場にはなじみのないようにも感じるが、手法は学校教育にも十分適用できるだろう。特にグループで行う活動などの評価の仕方、メンバーへの問い掛けなどは、体験学習のみならず普段のグループ活動でも役立つ。

PAで重要になるのは、ファシリテーターの役割である。グループの中で望ましくない言動を繰り返すメンバーに、どう気付きと変容の機会を与えられるか。言葉掛け一つ取っても、適切でなければ、グループの信頼関係や成長を阻害させてしまいかねない。

学校行事などで組み込まれている体験活動を、子供同士の信頼関係づくりの場として捉え直すきっかけとしたい。