次世代に伝えたい日本人のこころ

PHP研究所 パナソニック教育財団 こころを育む総合フォーラム編 1400円+税
PHP研究所
パナソニック教育財団
こころを育む総合フォーラム編
1400円(税込)

未来を担う子供たちのために設立された「こころを育む総合フォーラム」。その活動の一環として、今の時代に人間として備えておきたい教養とは何かをテーマに、座長である宗教学者の山折哲雄氏と各界の論客が語り合う。

いや、語り合うという表現は少々手ぬるい。東工大でリベラルアーツを教える上田氏に「何だ、日本の大学もくだらんことをやっているなと私なんかは思う」と山折氏が吹っ掛け、「手厳しくきましたねえ!」と苦笑しながらも、日米の大学のミッションの違いを話し出す上田氏との掛け合いは「論戦」といった趣きがある。

日本人はこころの奥底で外国人に軽蔑されているのではないかと感じた経営者のエピソードから、明治・大正・戦後の日本人の教養の違い、さらにリーダー論へと展開していく第1章(鷲田清一氏)、日本のジャーナリズムの「正義」について、教養の視点で語る第5章(滝鼻卓雄氏)、生命科学の研究者が「やまと言葉」を通してみた自然世界を掘り下げる第6章(中村桂子氏)など、日本と西欧の歴史や宗教観、精神性、音の響きやリズムといった、背景にあるものを手繰り寄せながら本質を探っていく。どの対談も面白い。

引き込まれて読み進めていくうちに、その理由が対談者とホストの山折氏が持つ、深遠な教養にあると気付く。子供のこころを育むには、まず、大人が自らのこころを磨く必要があると感じさせられる。