学校図書館の可能性 自ら考え、判断できる子どもを育てる

全国学校図書館協議会 渡邊重夫 著 2500円+税
全国学校図書館協議会
渡邊重夫 著
2500円+税

誰にも読まれていない本の図書カードに、自分の名前を最初に書くことを趣味とする高校生。図書室へ来ても勉強するでもなく、ただ読書にふけるだけ。岩井俊二監督の映画「Love Letter」ではそんな場面が描かれる。

一部の人々にとって、学校の図書館は静かに本を読むだけの場所だったのではないか。学校の図書委員を除けば、図書館に行く生徒はほんの一握り。どうせ勉強するなら、学校を離れて公共図書館へ行こう。そんな風潮が漂う学校もあるかもしれない。

学校図書館とは本来、問題解決に役立つ資料を見いだし、子供の批判的精神を培うために存在している。子供は、書物を通して多様な見識に触れ、自己を見つめ、他者を認識し、社会の仕組みや複雑さを知る。つまり、学校図書館で資料に当たり、探求しながら学習するのが本来の姿なのだ。

学校図書館において、自ら学び判断できる子供を育てるにはどうすべきか。資料や司書の存在によって教育環境をどう整えるべきか。こうした観点から諸課題を論じた上で、学校図書館とは、現在の困難な教育状況の変革へ向け、有力な視座を提供する存在だとする。読書が自己形成に与える影響を考慮すれば、学校図書館の活動は子供の未来を創造する可能性すら秘めているとも指摘する。

情報化社会の現代では、情報を読み解く力が不可欠だ。学校図書館はますます重要な存在になっていくだろう。