半径5メートルからの教育社会学

大月書店 片山悠樹ほか 編 2200円+税
大月書店
片山悠樹ほか 編
2200円+税

私たちの誰もが、教育に関してなんらかの経験を持っている。しかしそれゆえに、教育について考えるとき、私たちは自分の経験を中心に据え、ある種の「当たり前」というバイアスを持ってしまう。

本書は、そのような教育の「当たり前」を問い直し、教育問題を本質的に考える手引きとなる。

全4部、12章構成で、第1部「『大学生になる』ことを社会の観点から考える」では、学力格差、ジェンダーの問題、貧困による教育機会の格差についてまとめた。第2部「『学校に通う』ことは当たり前か?」では、学校に行かない・行けない子供たちの背後にある社会問題に目を向ける。第3部「教育のなかの『正しさ』を疑う」では、学校教育で高らかにうたわれる「文武両道」主義の合理性や教育の善性への過剰な信頼を問い直している。第4部「若者をとりまく『空気』を読み解く」では、いじめやスクールカースト、さらには就職活動にまで言及し、若者の苦境を「心の問題」と斬って捨てる現在の空気に異を唱える。

私たちにとってごく身近な、まさに半径5メートルの距離にある問題について、豊富なデータを提示しながら平易な文章で語られる論は、「当たり前」の色眼鏡を捨て、さまざまな視点から問題を捉える感覚を磨く助けとなる。

各章ごとに、読者の深い思考と発展した理解をうながすWORKを設置。参考文献にも当たりやすく、教育社会学を学びたい人にとって良質な入門書。