あるあさ

イジニ さく・え チョンミヘ やく 少年写真新聞社 1600円+税
イジニ さく・え
チョンミヘ やく
少年写真新聞社
1600円+税

あるあさ、目を覚ますと、大切なうつくしいつのがなくなっているのに気付いた一頭の「しか」。途方にくれて泣き暮らすうちに、つのを探しに行こうと思い立つ。旅のなかで、ほかの動物たちと出会いを重ねるうちに、しかは、誰もが大切な何かを失った痛みを抱えながら、懸命に生きていることを知る。そして、旅を終えたある日のあさ、しかの頭には――。

黒い輪郭線を排し、かすみがかった色彩で描かれる世界は、夢を見ているかのように幻想的。悲しみや寂しさ、他者との共感といったしかの心情に応じて変化する色調が、読み手の心をも繊細に彩る。

喪失の絶望。気持ちを分かち合う人のあたたかさ。そしていつかまた、大切なものがあらわれるという希望。優しいメッセージと作者独自の世界観が、不思議な魅力を放つ一冊。