偏差値好きな教育“後進国”ニッポン

池上彰+増田ユリヤ 著 ポプラ社 800円+税
池上彰+増田ユリヤ 著
ポプラ社
800円+税

日本と海外の教育を比べて優劣を競っても仕方がない。だが、日本の教育をよりよくするヒントを海外の事例から得ることは可能だ。27年間教員を務めた増田ユリヤ氏は、今の時代に求められる教育の姿を海外の現場から探る。

例えば、フィンランドでは教員が部活動や課外活動を担当しなくていい。だから授業に集中できる。授業数が少なければ、教員も私生活を大切にでき、そこで得た経験を学校や授業に生かせる。

フランスで2011年、優等生の女子中学生が問題行動の多い同級生にフェイスブックでいじめられ、自殺した。学校外で起きたこととはいえ、事態を重くみた学校側は、生活指導専門官とは別に見守り役を置き、子供同士のけんかやいじめの情報をいち早くキャッチして、問題が小さいうちに芽を摘みとるようにした。

池上彰氏は増田氏のリポートに応じる形で、いじめ問題で主に「道徳」の観点からアプローチする日本の教育現場に疑問を投げ掛ける。いじめ防止対策推進法第十五条には「豊かな情操と道徳心」と記されているが、過去のいじめ事件では加害者側に「いじめている」という意識が希薄だった。

一方のフランスは「人権」の面から問題に取り組む。人が人として尊重され、人らしく生きる権利。いじめとは相手の人権を侵害することだと教えるフランスでの実践に、池上氏はヒントをみる。

日本の教育の次の一手がみえてくる一冊。