灰屋灰次郎 灰はございー

飯野和好 作 アリス館 1400円+税
飯野和好 作
アリス館
1400円+税

「灰はございー」、通りに響く声の主は、灰屋を営む灰屋灰次郎。人々からいらない灰を買い集め、精製して卸している。灰次郎が作る灰はきめが細かくよい灰だと評判で、布を染めたり器を作るのによいと、次から次へと売れていく。しかし、灰次郎をやっかんだ元弟子の銀五郎は、浪人・仙兵衛とよからぬ計画を練り始める――。

江戸時代の長屋の、つましくも活気あふれる人々の暮らしぶりが、温かい手書き文字と力強い筆致の絵で生き生きと描かれている。かつて灰を売り買いする仕事が存在したことや、現代ではなじみの薄い「へっつい」や「もっこ」といった道具類の使い方を調べて読み直すと、当時の暮らしがより近くに感じられる。

そして、この本はぜひ声に出して読んでみたい。落語の人情噺(ばなし)に通ずる味がある。