「迷惑施設」としての学校 近隣トラブル解決の処方箋

時事通信社 小野田正利 著 1400円+税
時事通信社
小野田正利 著
1400円+税

学校に寄せられる苦情は、その数、内容共に年々深刻さを増している。「ブラスバンド部の演奏がうるさい」「運動場の砂ぼこりで洗濯物が干せない」といった近隣住民からの訴えのみならず、夜遅くまで続く保護者からの不満や苦情、校庭の桜の咲き方にまでクレームをつける人もいるという。生きづらい時代になったと思わずにはいられないが、当事者である学校側はそれで済まない。

社会一般の苦情クレーム対応の考察から「イチャモン学」を確立した著者(大阪大学大学院人間科学研究科教授)は、こうした苦情・クレームが拡大した要因に「急激な少子化と高齢社会化」の進行を挙げ、現代を「子どもの存在に不寛容な社会」とみる。一方で、早朝・深夜勤務や長時間労働に就く人、世帯構成・ライフスタイルの変化にも目を向け、学校が特別な存在として扱われる時代は終わったと分析する。

近隣住民との関係づくりの上で大きな鍵となるのは「少子化」や「子供のため」という錦の御旗を掲げないという点だ。学校も「同じ地域に『住まう』住民の『ひとり』として、近隣住民と〝折り合い〟をつけながら近所付き合いをする意識を持ち続けているかどうか」。その意識を行動につなげた実例も詳述されており、関係が変化する様子は非常に興味深い。

重いテーマではあるが、ユーモアたっぷりの語り口で楽しく読める。苦情対応が喫緊の課題でなくとも一読しておきたい。