星につたえて

 安東みきえ 文 吉田尚令 絵 アリス館 1500円+税

安東みきえ 文
吉田尚令 絵
アリス館
1500円+税

それは、まだ生きものといえば海のくらげくらいしかいなかった頃のこと――。ひとりぼっちで海を漂っていたくらげは、ある晩、ひとりぼっちで宇宙を旅するほうき星と出会う。お互いのことを話し、永遠にも似た楽しい一夜を過ごしたあと、朝焼けの中に消えていくほうき星になにかを伝えたいのに、なんと言えばいいのかわからない。また会おうと約束して、ずっとほうき星を待ち続けても全く会えなかったくらげは、自分の子供に星への言葉を託す。

人が太古から抱き続けてきた、「だいすき」という気持ち。温かく、何かがあふれるようなその言葉は現在、私たちにとってごくありふれたものだ。誰かを慈しむ心がくらげの小さな身体の全部を満たすさまは、読む人の胸を打つ。日ごろ当たり前に使う言葉の意味や力を噛みしめるきっかけとなる。