学校は、何をするところか?

中村堂 苫野一徳・菊池省三 著 1944円+税
中村堂
苫野一徳・菊池省三 著
1944円+税

気鋭の教育哲学者と稀代の教育実践家による対談。読む前から期待が膨らむ一方、少しばかり不安もよぎる。研究者と実践家は、水と油のように議論がかみ合わないことが珍しくないからだ。

その期待と不安は、どちらも鮮やかに裏切られた。冒頭から、二人が、出会う前からお互いを意識していたのが分かる。まるで共鳴するかのように、議論は学校や教室、授業といった、教師が当たり前に捉えてきたシステムの「おかしさ」を丸裸にしていく。

菊池が実際にさまざまな教室で見てきた授業や子供たちの姿を語れば、それに対して苫野が解釈を加える。苫野が自身の感じていた学校の居心地の悪さに触れれば、菊池はその原体験に映る苫野少年の姿を受け止めようとする。

「学校とは何か?」のテーマに、菊池は「ほめる」という表現で説明を試みる。苫野は学校を「自由とその相互承認の感度を育むところ」と定義、菊池の言う「ほめる」とは、いくつかのレイヤーがある「承認」の段階の中でも最も上位のものだと指摘する。そして、お互いの思想や実践の邂逅をみる。

ただ、対談がそこで終わってしまったのは非常に残念だ。対談の後、菊池の授業実践の映像を苫野が論評しているが、ぜひ実際の菊池の授業に苫野が飛び込んだり、苫野の思考に菊池が問い掛けたりという、リアルなセッションに立ち会ってみたい。二人がたどり着いた先に、今後の学校教育や教師の理想が垣間見えるに違いない。