教育の効果 メタ分析による学力に影響を与える要因の効果の可視化

ジョン・ハッティ 著 山森光陽 監訳 図書文化社 3700円+税
ジョン・ハッティ 著
山森光陽 監訳
図書文化社
3700円+税

効果的な教育法に関する研究の数は膨大だ。学習指導の手法は教師によって千差万別で、教室という教師と学習者だけの閉ざされた空間で行われるため、その指導法が本当に効果的なのかを振り返り、工夫改善する機会は少ない。

本書は、学習に与える影響について検討するのを目的に実施された800以上のメタ分析をさらにメタ分析し、特に学力の向上に関して、その効果量をまとめている。学習者要因、家庭要因、学校要因、教師要因、指導法要因の5領域78要因が、学力に与える影響とその根拠を詳細に検討した。

効果量順のランキングを見ると、「学習者の能力レベルの自己評価」「マイクロティーチング」「教師の明瞭さ」「フィードバック」などが上位に。一方で、一般的に学力向上に有効とされている「宿題」や、「学習の階層化」「ティームティーチング」などは効果が小さいのが明らかにされている。

しかし、本書はこうした効果的な指導法の列挙だけに留まらない。宿題の効果量が低ければ、なぜ低いのか、効果を高めるにはどうすればよいのかを論理的・省察的に考えることが、学習の本質原理を把握するのに肝要であると著者は述べる。教師が学習者の立場で、学習者が教師の立場で学びを見つめ、明確な目標とそこへ到達するまでの綿密なフィードバックによる「見通しが立つ指導と見通しが立つ学習」を、効果的な学力向上を目掛ける新たな指導・学習モデルとして提示する。