ヒトラーと暮らした少年

ジョン・ボイン 著 あすなろ書房 1500円+税
ジョン・ボイン 著
あすなろ書房
1500円+税

戦間期、7歳の少年ピエロはドイツ人の父とフランス人の母を早くに亡くし、父の妹ベアトリクスに引き取られる。家政婦として叔母が勤めている山荘は、ドイツ総統アドルフ・ヒトラーのものだった。

無垢な少年であるピエロは何も分からないまま時代の波に翻弄(ほんろう)され、その純粋さゆえに、強力なカリスマ性を持つヒトラーへの憧れと彼からの承認を求める欲求にのまれていく。大小さまざまな混じり気のない残酷さと、それにおびえ、服従するしかできない苦しさ。心優しい少年が見る見るうちに残忍な人格を形づくっていくさまは恐ろしく、淡々と語る文体に戦慄(せんりつ)が走る。

人はどこまで親切になれるのか、また、どこまで残酷になれるのか。そして人として、どのように生きるべきなのか。重く苦しい問いを投げ掛ける作品。