やさしいたんぽぽ

安房直子 文
南塚直子 絵
小峰書店
1500円+税

日が暮れて、誰もいなくなった春の野原に、女の子が一人、立っていた。女の子のエプロンの中には、何か、小さくて温かいものが……。野原の向こうを電車が走りすぎる。エプロンの中をそっとのぞく。

中に何が入っているかは、絵本を読んでのお楽しみ。

やがて、女の子は葛藤する。お母さんにあることを命じられたからである。

野原に黄色い明かりがともる。明かりは海のように広がり、一斉に揺れ、植物に姿を変える。

花が女の子に語りかける。「はなは やさしい こころでいるとき、つみとられても しにません」

登場人物、キャラクターの数は少ないが、命と命がつながる豊かな世界が広がる。誰かが自分のために生きる、自分が誰かのために生きる、そんな命の共鳴を優しく描写した。