主体的な学びを促すインクルーシブ型学級集団づくり


河村茂雄 著
図書文化社
1800円+税

変化の激しい知識基盤社会で、学校教育には「共生社会の形成に向けたインクルーシブ教育」と「主体的・対話的で深い学び」の実現が求められている。いずれも今日的な重要課題として大学や研究機関などで研究が進められているが、教室では一緒に展開するにもかかわらず、別個に語られることが多い。

「インクルーシブ教育」の実現と「主体的・対話的で深い学び」の実現に向けた教育実践を、一体的に推進する仕組みづくりを提案。「学級集団づくりのあり方」と「子供に対する指導のあり方」について、著者が聞き取りや観察調査を行った教員たちの取り組みを基に、望ましいモデルを示す。

2部構成で、前半ではこれからの学級経営における課題を指摘。後半では日々の学級経営の基礎となる指導のポイントを「15のコツ」として示す。各所に記されたコラムでは、「ソーシャルスキル」「Q-U」「開かれた個」など、近年注目される語句を具体例を交えながら丁寧に解説している。

これまで教員らが現状と課題に即し工夫して行ってきた指導の蓄積に基づくものとして位置付けることができる。

著者は「上手い教員たちは、子供個々と学級集団の状態を客観的に把握し、PDCAサイクルのもと、学級集団づくり・教育実践を実態に応じて継続的に改善しながら展開していた」とし、新学習指導要領の本格実施に向けたたたき台として活用してほしいと述べる。