授業力をきわめる知恵とワザ

前田勝洋 著
黎明書房
2000円+税

多くの小・中学校を行脚し、授業づくりや学級づくりを助言してきた元校長が、自分自身の実践や優れた教員の取り組みの中から見いだした授業の「知恵とワザ」のエッセンスが詰まっている。

その中には三色のチョークによる板書の色分けなど、今日の学校現場では基本とも言える決まり事も含まれているが、ある意味でそういった基礎こそが授業の根幹であり、授業がうまくいかないときこそ、その基礎基本に立ち返る必要があるということなのだろう。

著者は授業づくりにおいて学習規律を何よりも重視している。授業の開始・終了のあいさつに始まり、机の上の準備、挙手や発言のルール、教科書の読み進め方などをしっかりと定め、子供に徹底させることで、授業への集中力は格段に上がるという。

第4章は、授業改革を核とした学校づくりの事例。著者が聞き取った管理職や教員の語りや取り組みからは、現状への危機意識や新しい授業に挑む緊張感が伝わってくる。教職員がチームとしてその協働性を発揮するための共通言語こそ、授業なのだと実感した。

主体的・対話的で深い学びの実現に向けて、学校現場では模索が始まっているが、こうした観点がおろそかになっていれば、瞬く間に授業は崩壊してしまうだろう。

学校全体で普段の授業を見直し、学習規律を確立させなければならない。著者の言う「授業力をきわめる」とは、つまりそういう不断の努力なのだろう。