「協働の学び」が変えた学校

金子奨・高井良健一・木村優 編
大月書店
2000円+税

生徒も教員も学び合う学校の姿とは、どのようなものか。

生徒の学びを保障したいという願いが10年かけて実を結ぶまでを、14人の教員が詳細に記し、「協働の学び」の根源的な価値を伝える。

舞台は埼玉県立新座高校。2007年の学校教育法改正により、特別支援教育の推進が高校においても義務づけられた中で、若い教員らが、多様な発達課題をもつ生徒一人一人に寄り添い、「協働の学び」を通じて、信頼される社会人の育成を目指して繰り返した試行錯誤が描かれている。

「子供が安心していられる場の確保の重要性と共に、それがかえって事態の深刻さを見えにくくさせる危惧」を編者は指摘する。

一見して落ち着いた環境を作るだけでなく、生徒が着実に成長し、大人として独り立ちするための学びの提供。その中でもっとも大切にしてきたものが「対話」だ。

さまざまな困難を抱え、くじけてしまいがちな生徒をケアしながら、「協働の学び」によって学校という社会を共に構築しながら教員も生徒も変容し、成長する。その過程が「10年の改革」として示されている。

結びでは学校運営という視点から改革を分析し、学校における組織作りに寄与するよう工夫がなされている。

本書を推薦する秋田喜代美東京大学教授は「公教育の真髄とイノベーションを鮮やかに示している」と評価する。