道徳授業の迷宮

藤川大祐 著
学事出版
1800円+税

2018年度から小学校で、19年度からは中学校で教科化されることになった「特別の教科 道徳」。学校の道徳授業が人々の道徳性を高めていると実感している人は、少ないのではないか。なぜ、誰のために道徳は教科化されるのか。そんな疑問を、本紙コラムでおなじみの藤川大祐氏が読み解く。

「私たちが迷い込んだのは、『考え議論する道徳の迷宮』」と冒頭にあるように、新指導要領では道徳の授業において考えること、議論することを重要視する。

筆者によると「考え議論する道徳の迷宮」は、▽自分自身▽人との関わり▽集団や社会との関わり▽生命や自然、崇高なものとの関わり――の四つの扉から成り立つ。これをゲーミフィケーション手法を絡め攻略していく。ポイントの一つは「世間で良いとされている価値観に同調するステレオタイプ授業からの脱却」。「将来の夢はあったほうがよい」「友達と仲良くするべきだ」などの価値観を本書では「親の小言レベルの話」と位置付ける。当たり前だと思いがちな「親の小言レベルの話」を「考え議論する道徳」では改めて考察し、「なぜなりたいものがなければいけないのか」「どんな友達とも仲良くしなければならないのか」などの点を探究、議論し、子供たちはそれぞれの答えを導き出すのだ。

巻末では「『考え、議論する道徳』にはけっこうな力があると確信はある」とした筆者。迷宮に入った教員は攻略のヒントにしてみてはどうだろうか。