絵本・名人伝

中島敦 原作/小林豊 文と絵
あすなろ書房
1400円+税

紀元前3世紀の中国の都・邯鄲(かんたん)で、天下一の弓の名人を目指した紀昌(きしょう)は、弓の達人・飛衛(ひえい)に弟子入りをし、最初の5年間を目の鍛錬に費やす。石つぶてが飛んできてもまばたきをせず、小さなノミが馬ほどの大きさに見えるまでになり、その後始まった弓の上達も驚くほど早かった。

「もはや、自分は師を超えたのではないか?」と考えた紀昌のごう慢な心に気付いた師匠は、弓を使わずして大空のトビを射落す不思議な技を持つ老師の元へと、紀昌を導く。すでに名人の域に達していた紀昌であったが、そこからさらに成長を遂げる。

真の名人は何を射抜いたのか。中国の古典をベースとした情緒あふれる絵によって、どんな道を目指す者にも共通する深遠なテーマの世界へ引き込まれる。