「医療的ケア」の必要な子どもたち

内多勝康 著
ミネルヴァ書房
2200円+税

新生児の命を世界一救っている日本。その命をどうやって守るのか――。医療技術の進展によって、これまで助からなかった命が多く救われるようになった。一方で、重い障害を複数抱え、人工呼吸や経管栄養を常に必要とする子供が増えている。しかし、その子供―医療的ケア児―を受け入れる保育施設は全国的に乏しい現状にある。ケアを担う家族は夜も十分に眠れず、肉体的にも精神的にも限界を迎え、仕事復帰も叶わずに社会的な孤立を深めている。医療的ケア児とその家族が安心して過ごせる居場所の整備が急務だ。

こうした医療的ケア児を巡る実態は、日本が抱える新しい介護問題である。NHKのアナウンサーとして、医療的ケアを巡る問題を取材してきた著者は、その後問題解決の当事者となった。短期入所施設「もみじの家」の初代ハウスマネージャーに転身したのである。とはいえ、医療の専門知識もなく、経営に関しても素人だ。そもそも「もみじの家」のような施設自体、日本初の試みなのである。気概だけではどうにもならず、失敗や勉強を繰り返しながら、少しずつ運営が軌道に乗っていく過程が描かれている。

著者をはじめ、支援を広げようとする人々の尽力によって、日本における医療的ケア児とその家族の居場所は少しずつ増えている。子供たちがどう生きようとしているか。家族が子供の将来のために何を求めているか。関わる当事者たちの思いが詰まっている。