絵本を使った道徳授業の進め方

多賀一郎 編著
黎明書房
1800円+税

小・中教員の中には、道徳授業の学びを深める教科書以外の「何か」を常に探している、という人も多いのではないだろうか。児童生徒たちの心をつかみ、引き付けるようなもの……、その一つに「絵本」の選択肢がある。

冒頭で「絵本には圧倒的な力がある」と述べる著者は、小学校教員として長年にわたり児童と接してきた経歴を持つ。生命の尊さを教えたければこの本、親切や思いやりを教えたければこの本。本書では計19冊の絵本が紹介されており、授業に取り入れるときの指導案や指導法のポイントが、1冊ごとに詳細につづられている。

例えば「向上心、個性の伸長」や「友情、信頼」を題材にする際の教材として使えるのは有名な絵本『星の王子さま』。▽王子さまがどこから来たか、なぜ旅に出たかをまとめる▽王子さまが自分に出会ったらどんな会話を交わすか想像してみる――といった、授業での活用事例が示されている。巻末には小・中の道徳の指導項目ごとに厳選した絵本リストも掲載している。

著者は「子供の心を揺さぶること」を道徳教育の重要な要素に挙げる。そのためには子供に考えるきっかけを与え、自ら深めようとする方向性を持つ教材が必要となる。絵本は言葉と絵の両方で子供の心に「どしん」とぶつかってくれる。絵本で揺さぶられた子供の心からこぼれ落ちる思いこそが、道徳教育のたまものといえるのだろう。