未来の科学者との対話16 第16回 神奈川大学全国高校生理科・科学論文大賞受賞作品集

学校法人神奈川大学広報委員会 全国高校生理科・科学論文大賞専門委員会 編
日刊工業新聞社
1600円+税

全国の高校生による数学、化学、生物、物理などの科学研究論文19編を収載。「ゴキブリはなぜ『正の走光性』を示すのか」「カキ殻(廃棄物)による『赤潮退治』」「宙に浮いて回るコマの研究」――など、研究課題を見るだけで知的好奇心をくすぐられる。ユニークな視点や地域の課題解決、身近なものを活用した実験方法の数々に「高校生ならでは」という表現は失礼かもしれない。

それぞれの論文に高校生たちの知の探究の過程を垣間見る。科学論文ではあまり一般的ではない失敗にも触れているのは、その試行錯誤がなければ得られない成果があったからだ。まさに「失敗は成功の母」の体現である。全論文を研究者が真摯(しんし)に検討し、コメントを寄せている。その道のエキスパートが高校生の発想に驚き、論文の完成度の高さに舌を巻きながらも、新たな視点や課題を提起することも忘れない。論文を通じた研究者と高校生の「対話」が目に浮かんでくるようだ。

新学習指導要領では、新教科として「理数探究」が開設される。高校生が実験や研究に取り組み、成果を論文にまとめ、学会で発表する時代が来るかもしれない。その実現には、アカデミックな世界からの支援が欠かせない。こうした大学や研究機関のアウトリーチ活動は今後一層重要になると思われる。神奈川大学の全国高校生理科・科学論文大賞は16回の歴史がある。その先駆性と科学教育への貢献を高く評価したい。