才能の正体

坪田 信貴 著
幻冬舎
1500円+税

「彼女にはもともと才能があったんでしょう」。著者の坪田は学校の落ちこぼれから偏差値を40上げ慶應義塾大学に合格した、あの「ビリギャル」を指導したことで知られる塾講師である。坪田はこれまで、多くの人から冒頭のような言葉を掛けられてきたという。そして、こう断言する。「才能は誰にでもある」と。

人の才能について人が評価するとき、結果から判断しているにすぎない。そして、残念なことに多くの親や教師は「あなたには無理」と最初から決めつけ、子供たちの能力をつぶしていると指摘する。

実際に坪田が塾で実践してきた「子別指導」や多くの人との出会い、講演、会社経営などの経験から得られた「能力を才能に変える方法への気付き」が、具体的なエピソードとしてつづられている。

「与えられた教育に疑いを持たず、真面目に言われた通りにしてきた人に、『能力の高い人』はいるが、『尖った才能のある人』は少ない」「『自分の能力が発揮できない』と悩む人は、親や教師、上司の言うことを聞きすぎている。今すぐ聞くのをやめて、自分に合うやり方を探そう」。メッセージには、教える立場の大人にとって耳の痛いものもある。だがそれを「カリスマ塾講師だから」「学校ではそうはいかない」と逃げること自体、思考停止である。

学校教育、企業の人材育成、親の子育て、いずれの教育も現状に批判的であるが、それだけに傾聴し、まねてみる価値がありそうだ。