「公教育」の私事化

岩崎充益 著
東京図書出版
926円+税

2020年に向けて急速に進む日本の教育改革を、著者は「不易流行の『流行』に重きが置かれている」と指摘し、「生まれ落ちた生活環境の差で人生が決まってしまう」と危惧する。「教育の不易なる部分を軽視していると、日本の公教育は崩壊するでしょう。セーフティーネットからあふれた児童・生徒は学びから逃避していく」、その結果「教育格差は広がる一方」と警鐘を鳴らす。

著者は公立高校の校長を経て、現在は東京都教委の特任教授や大学の非常勤講師として後進の指導に当たる。

本書では「教育委員会の役割」「教育課程とカリキュラム」といった教育の基本を解説。「危機と予防措置」「いじめへの対応」では、教員を目指す読者にも分かりやすいよう実際の事例を交えて説明している。併せて、世界37カ国での滞在経験や、米国コロンビア大学大学院での研究を踏まえ、米国などと比較しながら日本の教育改革の課題を多面的・多角的に分析する。

教育は「未来を創造する職業」「人を愛する人を造ることができる職業」と述べ、さらに「金儲けとは無縁の世界です。教職は聖職と言われるゆえんです」と強調する著者が、教育の「不易」に当たる部分に迫った。「『公教育』の私事化」というタイトルが意味するところが何なのか、ぜひ本書を読んで確かめ、進みつつある教育改革を見直してほしい。