その魔球に、まだ名はない

エレン・クレイジス 著
あすなろ書房
1400円+税

ケイティ・ゴードンは草野球に熱中する10歳の少女。力学を応用して生み出した魔球は誰にも打たれたことがない。リトルリーグのトライアウトに合格し、練習試合の先発投手に選ばれたが、「女子は対象外とする」規則によって、合格を取り下げられてしまう――。

舞台は公民権運動が盛り上がり、旧ソ連との宇宙開発競争が激化する1957年の米国。あらゆる面で男女が平等ではなかったこの時代、ケイティは好きな野球を通して、正しい生き方を人として学んでいく。「野球は男子のもの」という風潮に埋もれてしまった女子野球の歴史をひもとく過程で、彼女は元選手の女性にインタビューを試みる。大人に対しても物おじせず質問を投げ掛ける場面は喝采を送りたくなる。好奇心と強い意志を持ち、目的に向かって突き進むケイティの姿に勇気をもらえる。