子ども・若者が変わるとき 育ち・立ち直りを支え導く少年院・少年鑑別所の実践

法務省矯正局 編
矯正協会
900円+税

世間では「少年犯罪は年々凶悪化し、増加傾向にある」イメージがあるが、実際には少年犯罪は年々減少し、殺人や強盗といった凶悪犯罪も少なくなっている。むしろ、少年院や少年鑑別所に入所する「非行少年」には、知的障害、発達障害があったり、いじめの被害経験を持っていたりするケースが多い。世間の印象と実態の間には、あまりにも乖離(かいり)がある。それが結果的に、少年の社会復帰を阻む壁となってしまっている。

少年院や少年鑑別所の職員がつづる一つ一つのエピソードには、少年らに対する温かい眼差しが通底している。矯正の場で規則正しい生活を取り戻すと、少年らは少しずつ自分自身の生き方を見つめ直すようになる。その成長に寄り添いながら、職員は社会復帰のために奔走する。

ところが、再出発に際し、地域や家庭、学校ですらも、受け入れに難色を示す場合が少なくないという。そのたびに職員は彼らの人間性や希望を丁寧に説明し、安心して過ごせる居場所をつくった上で送り出す。そうした職員の姿は教師や親と何ら変わりはない。学校と矯正教育の現場同士で共有できる実践知も多いはずだ。

罪を償い更正しても、日本の社会の対応は冷たい。それは少年であっても同じだ。偏見や誤解によって、社会に出た後も苦しみ続ける状況は一日も早くなくさなければならない。矯正教育への理解を広めることは、その第一歩になる。