カリキュラム改革に踏み出す 世界の視点から学習指導要領案を読む

2月14日に公表された学習指導要領案について、第8期中教審教育課程部会総則・評価特別部会委員の鈴木秀幸静岡県立袋井高校教諭に論説してもらった。


公開された小・中学校学習指導要領案は、世界で進行中のカリキュラム改革の流れにわが国も一歩を踏み出したものとみることができる。

最近、ロンドン大学教育学部の調査チームが、PISAで良好な成績を上げている国や地域(上海、香港を含む)でのカリキュラムを調べた結果を公表した(The Curriculum Journal 2016)。程度の差はあるが、これらの国や地域のカリキュラムの共通した特徴として、これまでの学問分野に立脚した教科・科目を寄せ集めたカリキュラムから、教科・科目の枠をゆるめた、教科・科目統合型のカリキュラムを指向している点を指摘している。

変化の1つの原因は、OECDの示した21世紀スキルである。これを実現するためには、教科・科目統合型のカリキュラムや、探究的な学習、対話を学習指導のプロセスに組みこむことが必要となる。

教科・科目を統合したカリキュラムを編成するための統合原理としては、21世紀スキルを用いたり、コンピテンシーであったり、汎用的能力を用いたりと、国や地域により異なるという。報告では、これまで教科・科目を中心にして指導してきた教師が、このような変化に十分に対応できていない例も紹介されている。

わが国の学習指導要領でも、総則で、教科等横断的な学習や対話的な学習が重要であると指摘されている。探究的な学習についても同様である。特に今回の教育課程の改訂で注目されるのは、教育課程の構造化という目標を立てて、教科・科目統合型カリキュラムへの方向を一歩進めたことである。

統合の方法として学習指導要領案では、3つの柱に沿って教科の指導内容の整理を試みている。「知識・理解」「思考力・判断力・表現力」「学びに向かう力、人間性」の3つである。前の2つについては、各教科でこれに沿って指導内容を整理して示している(整理の方法は教科の特徴を考慮して、一部教科で異なるが)。これは21世紀スキルやコンピテンシーではなく、観点別評価の観点を統合の原理として用いたといえる。

これまでの経過を考えれば、この方法はわが国では受け入れられやすいものである。

しかしながら、このような従来の枠組みを用いて示したために、教科等横断的な学習を強調しているとはいえ、改訂の本質が見えにくいものとなった感は否めない。

今後は、学習指導要領に関する解説などを通じて、育成すべき資質や能力は、教科等の枠組みを超えて教育課程全体で育成すべきことを説明する必要がある。

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