今年度注目の文教事業をみる 働き方改革で教職員定数増

cu20180402rクローズアップ・ロゴ新年度が始まった。今年度の文教関係予算は、新学習指導要領の先行実施や学校における働き方改革、高大接続改革の推進、学びのセーフティネットの構築など、4兆447億円を計上し、前年度より19億円増となった。文科省では生涯学習政策局を総合教育政策局に組織改編し、教育改革を総合的に推進するための機能強化を図る。同省の2018年度の注目事業は――。

◇ ◇ ◇
教職員定数の改善を実現

新学習指導要領の円滑な実施と学校における働き方改革の推進を目指し、「チーム学校」を実現するため、教職員定数の改善や専門スタッフ・外部人材の配置拡充、業務の適正化などを一体的に推進する。

義務教育国庫負担金は1兆5228億円を計上。前年度より20億円減であるものの、その内訳をみると、4456人分の教職員定数の自然減や教職員の若返りなどで約200億円が減る一方で、1595人分の教職員定数の改善に34億円、給与改定で135億円が増額される。

教職員定数の改善では、小学校外国語活動の教科化に伴う、専科指導教員の充実に1000人、中学校における生徒指導体制の強化に必要な教員の充実に50人を増やす。また、共同学校事務体制の強化として、事務職員を40人増やす。さらに、教育課題への対応のための基礎定数化で、▽通級による指導 505人▽日本語指導 58人▽初任者研修 63人――が増える。この他、貧困などに起因する学力課題の解消に50人、養護教諭や英語教諭など、「チーム学校」の実現に向けた学校の指導体制の基盤整備に20人、統合校・小規模校への支援に50人を増やす。

専門スタッフや外部人材の拡充では、122億円(前年度比7億円増)を計上する。

スクールカウンセラー(SC)を小・中学校2万6700校に配置(700校増)し、スクールソーシャルワーカー(SSW)も小・中学校に7500人(2500人増)、高校に47人配置する。SC、SSW共に、貧困・虐待対策のため、1000校に重点加配する。

児童生徒へのきめ細かな対応を実現するため、教員に加えて学校教育活動を支援する人材として、7700人分の配置を支援する。教員の負担軽減を図るため、学習プリントの印刷などを教員に代わって行うスクール・サポート・スタッフでは、3000人分の配置を支援する。また、適切な練習時間や休養日の設定など、部活動の適正化を進めている教委を対象に、中学校の部活動指導員4500人分の配置も支援する。

特別支援教育の生涯学習化

障害者が学校卒業後も、地域の一員として豊かな人生を送れるよう、生涯を通じて教育やスポーツ、文化などに親しむ政策を総合的に推進する。

学校卒業後における障害者の学びの支援に関する実践研究事業として、新規に1億円を計上。教育、スポーツ、文化、福祉、労働などの関係機関・団体が連携して、障害者の多様なニーズに応じた学習活動の支援や能力の維持・開発・伸長のための効果的なプログラムに関する実践研究を全国14カ所で実施する。

特別支援教育の充実でも24億円(前年度比2億円増)を計上。就学前から卒業後にわたる、切れ目のない支援体制の整備を促すため、教委と福祉部局などが連携し、一貫した支援体制を構築する地域を支援する。新たに30地域を加え、60地域で実施する。また、医療的ケアが必要な児童生徒のため、看護師を1500人(前年度比300人増)配置する。このほか、特別支援学校などでの障害者スポーツの充実も図る。

高大接続改革の推進

高大接続改革では、大学入学共通テスト(共通テスト)の準備事業に13億円を計上。20年度からの共通テストの円滑実施に向けて、記述式問題の作問・採点に関する信頼性・妥当性や、実施運営上の検証を行う試行調査(プレテスト)を実施するとともに、試験実施体制を整備する。また、高校生の基礎学力の定着に向け、高校の学習指導体制の調査研究や「高校生のための学びの基礎診断」の運用に関する試行調査などの研究開発も進める。

学びのセーフティネットの構築

幼児教育の無償化に向けた取り組みの段階的な推進として、子供・子育て支援新制度への移行分も含めて330億円(前年度比21億円増)を計上。18年度は子育て世帯の保護者負担の軽減を図る。例えば、年収360万円未満相当の世帯の保護者が負担する保育料は、第1子で12万800円(前年度比4万8千円負担減)、第2子で6万1千円(同2万4千円負担減)となる。

高校生への修学支援では、3841億円(前年度比36億円増)を計上。授業料に充てるための高校等就学支援教育交付金を支給し、家庭の教育費負担の軽減を図る。さらに、高校生等奨学給付金では、全ての意志ある生徒が安心して教育を受けられるよう、低所得世帯の授業料以外の教育費負担について軽減を図るため、非課税世帯の給付額を増やす。例えば、非課税世帯の全日制高校に通う第1子では、国公立で年額8万800円(前年度比5千円増)、私立で同8万9千円(同5千円増)が給付される。

17年度に先行実施した大学などへの給付型奨学金も充実させ、1063億円(前年度比108億円増)を計上。無利子奨学金事業についても、貸与基準を満たす希望者全員への着実な貸与が行えるよう、3584億円(同82億円増)を計上した。

給付型奨学金の給付人員は2.3万人(前年度比2万人増)となり、月額で▽国公立(自宅) 2万円▽国公立(自宅外) 3万円▽私立(自宅) 3万円▽私立(自宅外) 4万円――が給付される。

無利子奨学金の貸与人員は53.5万人で、新規貸与者分として4.4万人分を増やす。大学への授業料減免では、国立大学の授業料減免に350億円(前年度比17億円増)、私立大学の授業料減免に130億円(同28億円増)を計上。国立で6.5万人(前年度比0.4万人増)、私立で7.1万人(同1.3万人増)の受け皿を確保する。

cu20180402総合教育政策局に組織再編

今年10月から、総合的な教育改革を推進するための機能強化として、生涯学習政策局を総合教育政策局に再編する。同局には、▽企画調整課▽政策調査課▽教育改革推進課▽教育人材政策課▽生涯学習推進課▽地域学習推進課▽男女共同参画・共生社会学習推進課――の7課が設置される。

現在、初中局に置かれている教職員課と、高等教育局大学振興課の教員養成部局が統合の上、教育人材政策課になる。また、初中局の学力調査担当部局が政策調査課に、国際教育課の海外子女教育担当部局が教育改革推進課に、国際教育課の外国人指導担当部局と、健康教育・食育課の学校安全担当部局が男女共同参画・共生社会学習推進課に移管される。

また、現在生涯学習政策局に置かれている情報教育課が初中局に移管され、新たに情報教育・外国語教育課となる。さらに、高校担当の参事官も新設される。

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