詳報 児童生徒の学習評価 論点整理案

12月3日の中教審初等中等教育分科会などの合同会議で出された「児童生徒の学習評価の在り方について」の論点整理案では、小・中・高・特別支援学校の、新学習指導要領における学習評価の方向性を示した。論点整理案では、児童生徒の学習改善だけでなく、学習評価をカリキュラム・マネジメントの中核に位置付け、指導や組織運営体制の改善にも活用するよう求めている。

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観点別評価の3観点

観点別評価については、新学習指導要領で示された資質・能力の三つの柱である▽知識及び技能▽思考力、判断力、表現力等▽学びに向かう力、人間性等――に基づき、▽知識・技能▽思考・判断・表現▽主体的に学習に取り組む態度――の3観点について、現行と同様にA・B・Cの3段階で表す。

「知識・技能」の評価については各教科の学習過程の中で、個別の知識・技能の習得状況について評価するとともに、それらを既有の知識・技能と関連付けたり活用したりする中で、他の学習や生活場面で活用できる程度に概念を理解したり、技能を習得したりできているかを評価する。ペーパーテストによる評価では、知識の習得を問う問題と、知識の概念的な理解を問う問題とのバランスに配慮する。授業では、児童生徒が文章で説明したり、教科の特質に応じて観察・実験したり、式やグラフで表現したりする場面を設けるなど、多様な方法を取り入れて評価する。

各教科における評価の基本構造

「思考・判断・表現」では、各教科の知識・技能を活用して課題を解決するために、必要な思考力、判断力、表現力を身に付けているかを評価する。評価方法として、ペーパーテストだけでなく、論述やリポート作成、発表、グループでの話し合い、作品の制作や表現などの多様な活動を取り入れたり、それらを集めたポートフォリオを活用したりする。

新学習指導要領の「学びに向かう力・人間性」には、「主体的に学習に取り組む態度」として観点別評価で見取ることができる部分と、観点別評価や評定になじまず個人内評価を通じて見取る部分があることから、教科の特質に応じた評価方法の工夫改善を進めることが重要とした。「主体的に学習に取り組む態度」の評価やそれに基づく指導改善では、生涯にわたり学習する基盤を培う視点を持つことが重要であるとし、いわゆるメタ認知など、自己の感情や行動を統制する能力、自らの思考過程を客観的に捉える力など、学習に関する自己調整スキルを重視する。

「主体的に学習に取り組む態度」は単に継続的な行動や積極的な発言をするなど、性格や行動面の傾向を評価するのではなく、知識・技能を獲得したり、思考力・判断力・表現力を身に付けたりするために、自らの学習状況を把握し、学習の進め方について試行錯誤するなど、自らの学習を調整しながら学ぼうとしているかという意思的な側面を評価することが重要になる。

「主体的に学習に取り組む態度」の評価イメージ

評価の側面として、①知識・技能を獲得したり、思考力・判断力・表現力を身に付けたりすることに向けた粘り強い取り組みをしようとする②①の取り組みの中で自らの学習を調整しようとする――の二つの側面を評価することが求められるとし、①が十分に認められても②が認められない場合には、十分満足できる(A)とは評価されないとした。

「主体的な学習に取り組む態度」の評価方法としては、ノートやリポートの記述、授業中の発言、教員による行動観察、児童生徒の自己評価・相互評価などを用いることが考えられる。また、小学校低学年など、児童自らが学習を調整する姿を見取ることが困難な場合では、教員が示した学習の目標(めあて)を理解し、自分なりにさまざまな工夫をしようとしているか、他の児童との対話を通して自らの考えを修正したり立場を明確にして話したりしているかなどを評価する。

評価の方針・タイミング

評価方針について、これまで必ずしも教員が児童生徒に伝えていない場合があるという指摘を踏まえ、児童生徒の発達段階に留意した上で、評価方針を事前に示し、共有する。そうすることで評価の妥当性・信頼性を高め、児童生徒にその教科で身に付けるべき資質・能力の具体的なイメージを持たせ、評価結果をフィードバックする際に活用できるようにする。

評価をするタイミングを巡っては、毎回の授業ごとに複数の観点を評価することが求められている場合が多く、教員にとって評価のための記録が常に求められ、教員や児童生徒が常に評価を必要以上に意識してしまうという指摘を受け、日々の授業の中では児童生徒の学習状況を把握して指導に生かすことに重点を置きつつ、「知識・技能」と「思考・判断・表現」については、原則として単元や題材などのまとまりごととし、それぞれの実現状況が把握できる段階で評価するようにする。

指導要録の改善

高校における観点別評価の取り組みは地域や学校によって差が大きく、形骸化しているという指摘も踏まえ、国の指導要録の改善に関する通知では、高校や特別支援学校高等部の指導要録に記載する事項における観点別評価の説明を充実するとともに、指導要録の参考様式に記載欄を設ける。大学入試改革などを踏まえ、2021年度までに新しい指導要録に基づく調査書様式を公表。25年春入学の大学入試から活用を始める。

教員の長時間労働の状況を踏まえ、指導要録のうち指導に関する記述については大幅に簡素化。学習評価の結果を教員が自らの指導改善や児童生徒の学習改善につなげることに重点を置く。「総合所見及び指導上参考となる諸事項」など、文章で記載される事項は要点を箇条書きとするなど、必要最小限にとどめる。また、小学校3、4年生の「外国語活動」の記録では、現行の小5、小6の観点別での学習状況の記述欄よりも簡素化した上で、評価の観点に従って児童の学習状況に顕著な事柄がある場合などに、その特徴を記入するようにする。

教育委員会など学校設置者が様式を定める指導要録の記載事項を全て満たしている通知表を各学校で作成する場合には、指導要録と通知表の様式を共通のものとすることができるようにする。また、働き方改革を推進するため、統合型校務支援システムなどのICT環境を整備し、電子的に記録された学習情報の活用を促進する。

学習評価の入試での利用

高校入試では中学校の指導要録の記載に基づいて作成される調査書が学力検査の成績と合わせて利用されている。このことについては▽学力検査を実施しない教科の学力を把握できる▽学力検査当日の成績だけでなく、中学校の一定期間の学習評価を踏まえることで、受験生の学力をより正確・公平に把握できる▽3観点をバランスよく把握できる――というメリットがある。他方で教員が評価材料の収集や記録、保護者への説明責任を果たすことに労力を費やす一方、学習評価を学習改善・指導改善につなげる点がおろそかになっていたり、中学生が以下に内心点を上げるかを意識した学校生活を送らざるを得なくなったりしているなどの批判があるとして、高校入試に用いられることだけを一義的な目的として中学校での学習評価をすべきではないとした。

その上で高校側に対して▽入試の質的改善を図るための入学者選抜方針や選別方法の組み合わせ、調査書の利用方法、学力検査の内容などの見直し▽調査書の利用の狙いを明らかにし、学力検査の成績との比重や学年ごとの学習評価の重み付けの検討▽調査書作成で中学校教員に過剰な負担がかかったり、生徒の主体的な学習活動に悪影響を及ぼしたりしないような中学校との情報共有・連携――を求めた。

大学入試についても、今後の議論を通じて各大学のアドミッション・ポリシーに基づき多面的・多角的な評価がされるように、調査書を適切に活用することが必要になるとし、指導要録を元に作成される調査書についても、観点別評価の活用を含めて、大学入試に必要となる情報を整理した上での検討が必要だとした。

また、全国学力・学習状況調査や高校生のための学びの基礎診断の認定を受けた試験など、外部試験や検定を評価に用いることは、教員が自らの評価を補完したり、必要に応じて修正したりする上で重要だとする一方、各種試験・検定は学習指導要領とは必ずしも目標や評価の視点は同じでなかったり、学習指導要領が示す各教科の内容を網羅的に問うていなかったりすることを考慮すべきだとした。

習い事やスポーツクラブなど、児童生徒が学校外でする多様な活動は、必ずしも教員が把握することを求められているわけではなく、在籍する学校での評価の対象とはならないことから、高校や大学は調査書におけるこれらの記載に過度に依存せず、本人からの提出書類や申告を通じて確認することを求めた。