世界の教室から 教育先進国・フィンランド 第8回 ハンディクラフト、デザインとICT教育

慶応義塾大学教授 今井むつみ

自然と外国語に触れる言語環境
連載の第1回でも書いたが、そもそもフィンランド訪問を決めたのは、英語教育の秘密を探ることにあった。私の知る限りでは、英語を母語や公用語としない国の中で、世界で最も国民の英語能力が高い国がフィンランドである。フィンランド語は英語から系統的には遠く、言語として英語に似ているわけでは全くないのに、エリート層だけではなく、国民の誰もが英語が達者なのだ。その秘密はどこにあるのか。

第一の鍵は、子供が育つ言語環境だ。フィンランドでは、子供が喜ぶ魅力的なテレビ番組をあまり作らない。しかし、英語の幼児番組はたくさん放送されていて、しかも字幕は付けるが、吹き替えはしないそうである。

つまり、フィンランドの子供たち、特に文字がまだ十分に読めない幼児が魅力的な幼児向けのテレビ番組を見たければ、外国語を何とか自力で理解する以外にないのだ。……

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