
「人間関係のセオリー」
――川崎市の佐藤先生の学校がある地域は、外国にルーツを持つ家庭が多いと聞きます。異なる価値観を持つ人間同士が関係性を構築する上で大切なことは、何でしょうか?川崎市総合教育センターの指導主事時代、教育相談をした外国人家庭の数は約600世帯に上ります。さまざまな国の方と対話する中で気付いたのは、「人と人との間には、必ず溝が存在する」ということです。これは、国際理解教育の基本中の基本で、どんなに対話を繰り返しても、相手の全てを知ることはできません。
逆説的に聞こえるかもしれませんが、「相手の全てを理解することは不可能」という前提に立つことで、「自分が知っているつもり」や「理解しているつもり」のことから、「見えていないこと」や「理解できていないこと」を想像できるようになります。「想像しなければいけない」「想像しよう」というモチベーションが生まれるからだと思います。「自分に見えているのは相手のほんの一部だけ」と思っておくことが、他者との関係構築において、とても重要だと感じます。
自分が持つ「無意識の偏見」を意識する
もう一つ重要なのは、「自分の経験値や価値観では計り知れないことが多い」という認識を持つことです。……
この記事は購読会員限定です。購読を申し込むと、続きをお読みいただけます。