修学支援新制度 予約採用前に知りたい四つのポイント

「大学等における修学の支援に関する法律」(大学修学支援法)が今国会で成立し、2020年度から低所得者世帯を対象に、授業料減免と給付型奨学金を柱とする修学支援の新制度がスタートする。新制度を利用するには、世帯の所得以外にも学修意欲などの要件がある。今年7月から高校3年生を対象にした給付型奨学金の予約採用の申請手続きが始まるに当たり、新制度のポイントを四つに整理した。


ポイント1:家庭の経済状況を確認する

新制度の利用を考えている場合、まずは家庭の経済状況を把握する必要がある。

表1:授業料・入学金の減免上限額

授業料減免や給付型奨学金を利用できるのは、住民税非課税世帯とそれに準ずる世帯の学生だ。非課税世帯は年収約270万円未満(非課税)が目安となり、私立大学(昼間)へ入学した場合、入学金の約26万円、授業料の年間約70万円を上限に減免される(表1)。

一方の給付型奨学金は、私立大学に通う自宅生の場合、年間約46万円が日本学生支援機構から支給される(表2)。

目安として年収380万円未満がこれに「準ずる世帯」となり、年収約270万~約300万円であれば減免・給付額が非課税世帯の3分の2、年収約300万~約380万円であれば減免・給付額が3分の1と段階的に支給される。

減免・給付の基準額は、厳密には世帯年収だけではなく、資産も考慮して算出されるため、注意が必要だ。

表2:給付型奨学金の支給月額

給付型奨学金の場合、すでに高校3年生に向けたパンフレットや申請書類の配布が始まっている。日本学生支援機構では、支援額を試算できる「進学資金シミュレーター」も開設しているので、申し込み前に確認できる。

なお、浪人生の場合は、高校卒業後2年間(2浪)までは支援の対象となり、卒業した高校に申請する。また、高卒認定試験の合格者も対象となる。

7月には同機構の「スカラネット」上で申し込みの受付が始まる。申し込み時にはマイナンバーの登録も必要となる。

ポイント2:学業成績や学修意欲も要件に

授業料減免や給付型奨学金を受けるには、家庭の経済状況だけでなく、本人の学業成績や学修意欲も要件となる。これらの確認は高校において進路指導などの場を利用して行われる。

給付型奨学金を予約採用する高校3年生の場合、2年生の時点で評定平均値が3.5以上であれば、日常的な学習状況や進路指導を勘案して学修意欲の有無をみる。

また、3.5未満の場合はレポートや面談によって学修意欲を確認する。

その際に▽進学目的が明確に述べられているか▽進学目的を自身の言葉で表現できているか▽卒業後の将来の展望が述べられているか▽社会で自立し、活躍できるようになることが期待できるか――など、進学目的に関わる状況を確認する。

給付型奨学金などの手続きの流れ

さらに、▽進学後、卒業まで学修を全うしようとする意志があるか▽進学後にしっかり学ぼうとする意欲があるか▽学修の意欲が十分にあると認められるか――など、進学後の学修継続の意志も確認する。

文科省が高校向けに作成した「大学等への修学支援の措置に係る学修意欲等の確認の手引き」には、レポートや面談票の参考様式が掲載されている。

各高校は上記の手順に沿って、給付型奨学金の利用を希望する生徒の学修意欲などを確認し、8月ごろまでに「予約候補者推薦書」を同機構に提出する必要がある。

ポイント3:高等教育機関にも要件がある

一方、どの高等教育機関に進学しても、修学支援が受けられるとは限らない。授業料減免の対象となる高等教育機関が9月下旬をめどに公表される予定で、各高校は生徒の進学予定校が対象となっているかを確認する必要がある。

高等教育機関が授業料減免の対象となるには、▽実務経験のある教員による授業科目が標準単位数の1割以上配置されている▽法人の理事に産業界などの外部人材を複数任命している▽シラバスの作成、GPA(平均成績)などの成績評価の客観的指標の設定、卒業認定に関する方針の策定など、厳格で適正な成績管理を実施・公表している▽法令にのっとり、財務諸表の情報や定員充足状況、進学・就職の状況など、教育活動に関する情報を公表している――などの要件を満たす必要がある。

上記の条件を満たさない場合は、対象から外されることもあるので、進学予定先がこれらの要件を満たし、対象となったかどうかは必ず確認しておきたい。

ポイント4:進学後も成績・意欲の維持を

予約採用の申請を行った生徒が給付型奨学金の対象となった場合には、12月ごろに「採用候補者決定通知」が高校に送られてくる。そうしたプロセスを経て、2020年4月に進学予定の高等教育機関に入学後、「スカラネット」で進学届を提出すると、4月または5月以降、給付型奨学金の支給が開始される。

また、入学金と授業料減免については、進学後に高等教育機関で申請の手続きを行う。

進学後も授業料減免などを受け続けるには、毎年4月の申請時に、在学する高等教育機関の学業成績がGPAなどで上位2分の1以上であるか、または①修得単位数が標準単位数以上である②学修計画書の提出を求め、学修の意欲や目的、将来の人生設計が確認できる――の両方を満たす必要がある。

進学後、支給打ち切り・警告となる場合

ただし、①修得単位数が標準単位数の6割以下②GPAなどが下位4分の1に属する③出席率が8割以下であるなど、学修意欲が低い状況にあると大学などが判定――のいずれかに該当すると「警告」となり、支援は継続するが、学業成績を向上させるよう指導がされる。

また、①修業年限で卒業できないことが確定②修得単位数が標準単位数の5割以下③出席率が5割以下であるなど、学修意欲が著しく低い状況にあると大学が判定④連続して「警告」対象――のいずれかに該当すると支援が打ち切られる。

このように、修学支援新制度を利用するには、さまざまな要件をクリアする必要がある。特に、入学後も毎年継続して支援を受けるためには、高等教育機関での学修を怠らないようにしなければならない。その点は、高校生の段階で十分に理解させておく必要があるだろう。

なお、文科省では、修学支援新制度を高校生・保護者向けに解説した特設サイトを設けている。

(藤井孝良)

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